- 不倫した配偶者(妻or夫)に対して生活費(婚姻費用)を支払わらなければならないか?
- 不倫した配偶者が子どもを連れて別居した場合、子どもの養育費分は支払う必要があるのか?
【事例】
私は、妻と子ども(13歳)の3人家族です。
2022年12月に妻の不倫が判明しました。
不倫について妻に追及したところ、2023年1月に妻が子どもを連れて別居してしまいました。
どうやら、妻と子どもは、不倫相手の家に住んでいるようです。
そして、先日、妻から生活費の支払いを求める調停(婚姻費用の分担請求調停)を申し立てられました。
不倫した妻(配偶者)からの生活費(婚姻費用)の支払い請求に私は応じなければならないのでしょうか?
Q1 不倫をした配偶者(妻or夫)に対して生活費(婚姻費用)を支払わなければならないか?
生活費(婚姻費用)の一部については、権利の濫用又は信義則に反するとして、支払う必要がない可能性があります。
原則として、夫婦には、互いに協力して扶助する義務があるため、婚姻して共同生活をおくる上で必要な費用(生活費)を、収入等の事情を考慮した上で相互に分担する義務を負っています(民法760条)。
この生活費を分担する義務については、夫婦が別居している場合でも、婚姻関係が破綻している場合でも影響を受けるものではないと考えられています。
したがって、不倫した配偶者(妻or夫)に対しても生活費(婚姻費用)を支払う必要があるようにも思えます。
もっとも、今回の事例では、別居の原因が主として、生活費(婚姻費用)を請求している側の不倫(不貞行為)です。
このような場合、自ら別居や婚姻関係を破綻することについて専ら又は主として責任がある配偶者からの生活費(婚姻費用)の請求は、権利の濫用または信義則に反するとして認められないと考えられています。
ただ、別居の原因が配偶者(妻or夫)であるとしても、子どもには責任はありません。
そこで、生活費のうち、養育費部分(子どもの生活費部分)については、支払いする義務があるということになるでしょう。
したがって、今回の事案でいえば、相談者は、子どもの養育費相当額(子どもの生活費部分)については、妻に対して支払う必要があるという事になるでしょう。
もっとも、別居の原因が配偶者(妻or夫)の不倫(不貞行為)であるのかについては、証拠等を踏まえて慎重に判断する必要がある事項ですので、事例のような場合でお悩みの場合は、一度弁護士に相談をすることをお勧めいたします。
Q2 不倫した配偶者が子どもを連れて別居した場合、子どもの養育費分は支払う必要があるのか?
生活費のうち、子どもの養育費相当額(=子どもの生活費)については支払う必要があります。
先にも述べさせていただきましたが、別居の原因を作ったのは、不倫(不貞行為)をした配偶者(今回の事案でいえば妻)です。
すなわち、子どもには、責任はありません。
そこで養育費相当額(=子どもの生活費)については、支払う義務があるのが一般的です。