- 生活費(婚姻費用)を支払わない配偶者に生活費の支払いを請求できる?
- いつからの生活費(婚姻費用)の未払い分を請求できる?
- 生活費(婚姻費用)って、請求したらどのくらいもらえるの?
【事例】
私は、夫と子ども(7歳)の3人で暮らしています。
私は、現在パートとして、年80万円程の収入を得ています。
夫は、正社員として、年550万円程の収入を得ています。
しかし、3か月程前から夫が、自分の自由に使えるお金が欲しいのか、一切生活費を渡してくれなくなりました。
この場合、夫から生活費を支払ってもらう方法はないのでしょうか?
Q1 夫から生活費を支払ってもらうためにはどうしたらよいか?
婚姻費用の分担請求調停を家庭裁判所に申立てることが考えられます。
夫婦には、互いに協力して扶助する義務があります(民法752条)。
そのため、婚姻して共同生活をおくる上で必要な費用を、収入等の事情を考慮した上で相互に分担する義務を負っています(民法760条)。
この婚姻して共同生活をおくる上で必要な費用を「婚姻費用」(≒生活費)といいます。
今回の事例でいえば、相談者様の夫は婚姻費用を分担する義務を果たしていないので、この義務を果たしてもらうべく、婚姻費用の分担請求調停を申立てるのがよいと考えます。
Q2 婚姻費用は、夫が生活費を支払わなくなった3か月前分から請求できますか?
婚姻費用の分担請求調停申立時からとする場合が一般的です。
原則的には、請求時以降について認められます。
したがって、理論的には、口頭での請求でも請求をしていれば、婚姻費用を請求できます。
しかし、口頭で請求したことを証明するのは難しいので、調停申立時を請求時とする事例が多いです。
Q3 私は婚姻費用としていくらもらえるのでしょうか?
原則として、夫の年収と妻の年収、子どもの人数や年齢(別居している場合は、誰の下で養育されているのか)等の事情を基に算定します。
なお、調停では、お互いの源泉徴収票や、給与明細を提出してもらうのが一般的です。
裁判所のHPに『養育費・婚姻費用算定表』が公開されていますので、参考にしてみてください。
今回の事例でいえば、『養育費・婚姻費用算定表』によれば、婚姻費用は、10万円~12万円程になりそうです。